居宅介護支援のケアプラン完全ガイド 目的・作成手順・連携と給付管理・モニタリングと見直し – 株式会社だんらん|三重県志摩市で提供する多彩な高齢者ケアサービス

コラム

居宅介護支援のケアプラン完全ガイド 目的・作成手順・連携と給付管理・モニタリングと見直し

居宅介護支援におけるケアプランは何を目的に、誰のために作られるのか?

ご質問の「居宅介護支援におけるケアプラン(居宅サービス計画)は何を目的に、誰のために作られるのか」について、制度の位置づけと法令上の根拠を踏まえて詳しく整理します。

ケアプラン(居宅サービス計画)とは

– 対象 要介護認定を受けた方(要介護1~5)
– 作成主体 指定居宅介護支援事業者に所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)
– 内容 利用者の生活全体を見立てたアセスメントをもとに、「何を目標に」「どのサービスを」「どの頻度・方法で」「誰が」「いつまでに」行うかを具体化した計画。

短期目標・長期目標、根拠(医師意見・認定結果・生活課題)、週間のサービス予定、連携方法、評価・見直しの方法などを含みます。

– 性格 本人の意思決定を支える「生活の設計図」であると同時に、関係職種が共通理解で動くための「運用マニュアル」、さらに給付の適正化・検証を可能にする「説明責任の文書」という多面性を持ちます。

何を目的に作られるのか(目的)
介護保険制度の基本理念と居宅介護支援の役割に即して、ケアプランの主たる目的は次のとおりです。

本人の尊厳の保持と自立支援
介護保険法の目的(第1条の趣旨)にあるとおり、加齢等により要介護状態となった方が、その有する能力に応じ、自立した日常生活を営めるように支援することが最上位の目的です。

ケアプランは「できること」を最大限活かし、「できないこと」を適切に補う設計をすることで、本人らしい生活の継続を図ります。

本人の意思・選択の反映(利用者本位)
運営基準(省令)では、計画作成に当たり「利用者の心身の状況、置かれている環境及び有する能力に応じ、自立した日常生活が営めるよう配慮するとともに、利用者の意向を十分に聴取しこれを尊重する」ことが明記されています。

つまり、専門職の都合ではなく、本人の価値観・希望・生活歴を基点に組み立てることが求められます。

生活課題の可視化と目標設定(重度化防止・QOL向上)
アセスメントにより現状の生活課題(移動、排泄、服薬、栄養、社会参加、認知・行動症状、家族の介護負担など)を整理し、「何を改善・維持・予防したいか」を短期・長期目標に落とし込みます。

これにより、漫然とサービスを並べるのではなく、根拠に基づく支援で重度化防止や生活の質向上を目指します。

多職種連携の設計と調整(統合的ケアマネジメント)
訪問介護、通所介護、訪問看護、福祉用具、住宅改修、栄養・口腔、リハビリ、主治医の指示・医療といった資源を、役割分担と連携手順を明確にして組み合わせます。

サービス担当者会議を通じて共通目標と連絡体制を整え、切れ目のない支援を実現します。

給付の適正化と説明責任(透明性)
なぜこのサービスをこの回数で使うのか、目標・根拠・期待効果を明示し、本人・家族の同意を得て交付します。

これが事後の評価(モニタリング・再アセスメント)と給付管理(レセプト)の前提となり、保険給付の適正化につながります。

継続的改善(PDCA)
計画は作って終わりではなく、実施→評価→見直しのサイクルを回す前提で作られます。

状態変化や家族状況、医療ニーズ、生活環境の変化に応じて迅速に更新することで、効果とリスクのバランスを最適化します。

権利擁護とリスクマネジメント
本人の意思決定支援(インフォームド・コンセント、代諾時の配慮)、虐待・経済的搾取の兆候への対応、転倒・誤薬・嚥下などのリスク低減策を組み込むことも重要です。

個人情報保護と必要最小限の情報共有の規律も、計画運用の要素です。

誰のために作られるのか(対象)

– 第一義的には要介護者本人のため
本人の生活の再設計と意思決定を支えるために作られます。

家族の希望や専門職の見立ては参考にしつつも、最終的な焦点は「本人の望む生活」をどこまで実現・維持できるか、に置かれます。

家族等の介護者のため(ただし本人本位の枠内で)
家族の介護負担は本人の生活継続性に直結します。

介護力・健康・就労等を評価し、レスパイト(通所・短期入所)、福祉用具・住宅改修、介護技術支援、ヘルプの時間帯調整などで負担軽減を図ります。

これは結果的に本人の安定にも資するため、ケアプランの正当な目的に含まれます。

サービス提供事業者・医療機関のため(共同の作業指示書)
多職種が同じ目標に向かい、重複や抜け漏れ、リスクを避けるための共通台本として機能します。

誰が何をどこまで行い、どこで引き継ぐかが明確になることで、サービスの質と安全性が高まります。

保険者(市町村・広域連合)にとっての役割
計画は給付の妥当性を担保する根拠であり、ケアマネジメントの質評価・指導、地域資源整備のエビデンスとしても機能します。

もっとも、作成の出発点と中心はあくまで本人であり、保険者事務のために作るものではありません。

作成の基本プロセス(概略)

– インテーク・契約(説明と同意、個人情報取扱い)
– アセスメント(心身機能、活動、参加、環境因子、生活歴・価値観、家族状況、医療情報、リスク)
– 目標設定と支援方針(長期・短期目標、優先順位)
– サービス選定・調整(事業所選択、頻度・時間帯、連絡体制)
– サービス担当者会議(多職種で原案のすり合わせ、役割分担)
– 説明・同意・交付(本人・家族へ文書で交付)
– 実施・モニタリング(定期訪問・電話等、記録)
– 評価・見直し(状態変化時・定期、更新申請・区分変更に連動)

法令等の根拠

– 介護保険法(平成9年法律第123号)
1) 目的規定 保険給付により「要介護状態となった者が、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」支援する旨を掲げる(第1条の趣旨)。

2) 居宅介護支援の定義 要介護者に対し、居宅サービス計画の作成、サービス事業者等との連絡調整その他必要な便宜の供与を行うことを内容とする旨(居宅介護支援の定義規定)。

3) 指定居宅介護支援事業者・介護支援専門員の位置づけ 指定・管理、守秘義務、業務の適正実施、給付管理との関係等。

4) 利用者の意思尊重・選択 利用者本位、適切な保健医療サービス・福祉サービスの総合的提供の理念。

指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(厚生省令・平成11年省令第38号)
1) 計画作成の原則 利用者の心身の状況、環境、有する能力に応じ自立に資するよう配慮し、意向を聴取・尊重すること。

2) 居宅サービス計画の具体 長期・短期目標、サービス内容・量・頻度、提供主体、方法、連絡調整方法、緊急時対応、評価・見直しの方法等を記載すること。

3) 主治医の意見、要介護認定結果等の勘案 医学的見地を踏まえること。

4) サービス担当者会議の開催 多職種協議による整合性・役割分担の確認。

5) 説明・同意・交付 作成した計画を本人・家族に説明し、同意を得て交付すること。

6) モニタリングと変更 実施状況・効果・課題を把握し、必要に応じて変更すること。

7) 記録の整備・保存、個人情報保護、苦情対応の体制整備。

解釈通知等(厚生労働省)
「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(解釈通知)」や「介護保険最新情報」等で、アセスメントの考え方、サービス担当者会議の運用、計画記載事項、モニタリング頻度、医療・介護連携、虐待やハイリスク事案への対応などが具体化されています。

自治体の運用通知や指導監査要領も実務の準拠資料です。

補足 介護予防との違い
要支援者を対象とする「介護予防支援(地域包括支援センター等)」でも同様に計画(介護予防サービス計画)を作りますが、目的はより予防・生活機能維持に比重が置かれます。

ご質問の「居宅介護支援」は要介護者向けで、医療ニーズや生活支援の組み合わせがより多面的・継続的になりやすい点が特徴です。

まとめ

– ケアプランは、要介護者本人の尊厳と自立を守り、望む生活を実現するための「生活の設計図」であり、多職種が同じ目標に向かうための「共同の台本」、そして保険給付の適正化を担保する「説明責任文書」です。

– 第一に本人のために作られ、その枠内で家族の負担軽減、事業者間の連携、保険者の適正な給付のためにも機能します。

– 根拠は、介護保険法(目的・居宅介護支援の定義・利用者本位)と、指定居宅介護支援等の運営基準(計画作成・同意・モニタリング・多職種連携等)に明確に規定されています。

最後に、条文や通知は改正を重ねています。

実務や監査に用いる場合は、最新の介護保険法、関係省令(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)、および厚生労働省の解釈通知・自治体通知の最新版をご確認ください。

ケアマネジャーはどのような手順でアセスメントからケアプラン作成まで進めるのか?

以下は、居宅介護支援(ケアマネジメント)における、ケアマネジャーがアセスメントからケアプラン(居宅サービス計画)作成、実施、見直しに至るまでの標準的な手順と、その根拠(法令・省令・通知・ガイドライン等)です。

実際の運用は自治体・事業所のローカルルールや最新の報酬・通知で細部が異なる場合がありますが、流れそのものは全国共通です。

インテーク(初期受理)・契約

– 受付・依頼 本人・家族・地域包括支援センター等からの相談・依頼を受理。

– 重要事項の説明・契約 事業の内容、費用、個人情報の取扱い、苦情解決、サービス提供困難時の対応等を説明し、居宅介護支援の契約を締結。

同意を得て個人情報を関係機関と共有できる体制を整える。

– 認定情報の確認 要介護認定結果(要介護度、有効期間、一次判定結果・特記事項)、主治医意見書の存在・内容、認定審査会の意見等を確認。

根拠 介護保険法(契約・運営の基本)、指定居宅介護支援の事業の人員及び運営に関する基準(以下「運営基準」)における契約前の重要事項説明・同意、個人情報の適正管理義務。

個人情報保護法。

初回訪問・包括的アセスメント(課題分析)

– 本人中心の面接 本人の意向・価値観・生活歴・何を大切に暮らしたいか(ライフゴール)を聴取。

意思決定支援(必要に応じ家族・代理人の関与)。

– 心身機能の把握 ADL/IADL、認知・行動、排泄・食事・睡眠、疼痛・栄養状態、口腔、精神状態(抑うつ・意欲)、疾患・既往歴・服薬、フレイル・転倒リスクなど。

– 環境・社会資源 住環境(段差・手すり・動線)、家族・介護者の状況と負担、近隣・地域資源、経済状況、就労・役割、通院手段等。

– 医療連携 主治医・訪問看護・薬局等から医学的情報の収集(同意の範囲内)。

必要に応じ早期に退院支援部門等と連携。

– 既存サービス・支援の確認 介護保険外サービス、インフォーマル支援を含め現状の活用状況を把握。

– 標準様式の活用 事業所のアセスメントシート(ICF視点の様式等)に体系的に記録。

根拠 運営基準(利用者の心身の状況、環境等を踏まえた課題分析の実施義務、主治医等との連携)、厚生労働省「居宅サービス計画ガイドライン」「本人主体のケアマネジメント」に関する通知、介護支援専門員実務研修テキスト(ICFを踏まえた包括的アセスメント)。

課題の明確化(ニーズ整理)と目標設定

– ニーズの抽出 アセスメント結果から「できていること」「できそうなこと」「困りごと」をICFの心身機能・活動・参加、環境因子の観点で整理。

介護者負担やリスクも明確化。

– 目標設定 本人の意向に基づき長期目標(生活上の到達像)と短期目標(3か月程度での具体的達成像)を設定。

SMART(具体・計測可能・達成可能・関連・期限)で記述。

– 援助方針(支援の方向性) 自立支援・重度化防止・参加(社会参加・役割)を意識し、過剰・過少サービスを避ける。

根拠 運営基準(課題分析に基づく援助方針の設定、居宅サービス計画への反映)、自立支援・重度化防止の推進に関する厚労省通知・報酬改定の基本方針。

ケアプラン(居宅サービス計画)原案の作成

– 第1表 基本情報、長期・短期目標、支援方針、留意事項(リスク、医療上の指示等)。

– 第2表 サービス内容・種類・量・頻度・提供時間帯、事業所名、援助の具体、担当者、開始日・終了日、支給限度額内の給付計画・自己負担見込み、保険外サービスの整理。

– 第3表 週間・月間サービス予定表(訪問看護、通所、福祉用具、住宅改修、栄養・口腔等を組み合わせ)。

– 費用・給付管理 支給限度基準額内に収まるよう調整(超過分は自費と明確化)。

医療・介護の同日調整や区分支給限度基準の適正管理。

根拠 運営基準(居宅サービス計画書の作成・内容・交付義務、費用見込みの提示)、介護保険法・施行規則(区分支給限度基準額、給付管理)。

サービス担当者会議(カンファレンス)

– 目的 多職種(本人・家族・主治医関係者・訪問系・通所系・福祉用具・包括等)で情報共有し、目標・役割・連携方法を合意。

– 方法 原則対面開催。

やむを得ない場合はICT・書面照会等を活用し、本人の意向を丁寧に反映。

– 議事録 出席者、要点、各職種の役割、緊急時連絡体制、次回見直し時期等を記録。

根拠 運営基準(サービス担当者会議の開催・記録、本人の意向反映)、ICTの活用に関する厚労省通知(要件順守)。

本人・家族への説明と同意・交付

– ケアプランの説明 目標・サービス内容・費用・リスク・期待される効果・代替案を説明し、同意を得て交付。

本人が署名できない場合の取り扱いも記録。

– 事業所との個別契約支援 各サービス事業者との契約は本人等が行うが、日程調整・導入支援はケアマネが調整。

根拠 運営基準(説明・同意・計画書の交付)、消費者契約法、民法(契約支援に関する一般法理)。

サービス導入・連絡調整・給付管理

– 導入支援 初回導入時の連絡・同行調整、主治医の指示を要するサービス(訪問看護、居宅療養管理指導等)の確認。

– 連絡調整 変更・中止・緊急対応時の連携窓口として機能。

苦情・事故報告への対応。

– 給付管理 月次で給付管理票の作成・提出、支給限度基準額の管理、過誤申立て等の事務。

根拠 運営基準(適切な連絡調整、記録義務)、施行規則・審査支払関連通知(給付管理)、報酬算定要件各通知。

定期モニタリング(評価)

– 頻度 原則毎月、利用者の居宅を訪問して状況把握(やむを得ない場合の代替手段は記録)。

状態変化が大きい時期は頻度を上げる。

– 内容 目標達成度、サービス提供状況の適否、満足度、リスクの出現、介護者負担、医療的変化、栄養・口腔・排泄・睡眠等の変化、インフォーマル支援の変化を確認。

– 記録 モニタリング票と「居宅介護支援経過」に事実と評価、次のアクションを記録。

根拠 運営基準(定期的な状況把握・評価・記録)、自立支援・重度化防止の評価に関する通知(アウトカム志向のモニタリング)。

再アセスメント・計画の見直し(ケアプランの更新)

– トリガー 入退院、転倒・急変、家族状況の変化、サービス提供困難、新しいニーズの発見、認定更新時など。

– 手順 再アセス→目標・方針の再設定→原案修正→担当者会議→説明・同意→交付。

必要に応じて住宅改修・福祉用具の再評価。

– 記録 変更理由、検討過程、合意内容の記録を残す。

根拠 運営基準(必要に応じた計画の変更、担当者会議、説明・同意)、認定更新に伴う見直しに関する通知。

記録の整備・保存

– 主な記録 利用者基本情報、アセスメント票、居宅サービス計画(1〜3表)、サービス担当者会議の要点、モニタリング記録、居宅介護支援経過、重要事項説明書・契約書・同意書、給付管理関係、苦情・事故対応記録、連絡票等。

– 保存期間 少なくとも2年間(自治体指導によりそれ以上を推奨される場合あり)。

根拠 運営基準(記録作成・保存義務、保存期間)、個人情報保護法(安全管理措置)。

医療・入退院時連携、地域連携の強化

– 入退院時 退院前カンファへの参加、療養計画との整合、必要物品・サービスの前倒し調整、退院直後の重点モニタリング。

– 地域包括ケア 地域ケア会議や多職種連携会議、認知症初期集中支援チーム等との協働。

– 報酬上の加算 入退院・入所時連携加算等の算定要件に沿った記録・連携。

根拠 報酬算定に関する告示・通知、地域包括ケア推進の各種通知。

倫理・権利擁護・法令遵守の横断的留意点

– 本人中心・意思決定支援(ACP含む) 同意能力に応じた配慮、代弁の最小化、記録の透明性。

– 虐待の早期発見・通報 疑いのある場合は市町村への通報・連携。

– 守秘義務・個人情報保護 必要最小限の共有、目的外利用の禁止、情報セキュリティの確保。

– 公正中立性 特定事業所への不当な誘導の回避、過剰・過少サービスの防止。

根拠 高齢者虐待防止法、個人情報保護法、介護保険法(公正中立性)、運営基準(秘密保持・権利擁護)。

実務上のポイント(品質を高めるコツ)
– ICFに基づく「生活機能の促進」視点で、単なるサービスの積み上げではなく、環境調整・自助・互助も含めた組み合わせを設計する。

– 目標は本人の言葉で具体化し、達成指標(例 週2回の買い物に自力で行ける、夜間トイレの失敗を週1回以下に)を置く。

– 初回1か月は重点モニタリング(導入したサービスが狙い通りに機能しているかを確認)。

– リスクマネジメント(転倒・誤嚥・服薬・脱水・虐待・徘徊等)を計画の留意事項に明記し、役割分担を会議で合意。

– 記録は「事実」「評価」「次の行動(Plan)」の3点セットで簡潔かつ再現性のある書き方にする。

主な根拠(法令・通知・ガイドライン等)
– 介護保険法(居宅介護支援の根拠規定、公正中立性、保険者・事業者の役割)
– 介護保険法施行規則(給付管理、記録等に関する詳細)
– 指定居宅介護支援の事業の人員及び運営に関する基準(厚生労働省令)
– 課題分析(アセスメント)の実施
– 居宅サービス計画の作成・説明・同意・交付
– サービス担当者会議の開催・記録
– 定期的な状況把握(モニタリング)と計画の見直し
– 主治医・関係機関との連携、公正中立、秘密保持、記録保存
– 厚生労働省通知・告示
– 居宅サービス計画ガイドライン、本人主体・自立支援・重度化防止の推進
– ICTの活用、入退院時連携加算等の算定要件
– ケアプラン点検の手引き(保険者向けだが、適正化の観点が実務に有用)
– 介護支援専門員実務研修テキスト・標準様式例(アセスメント、計画書1〜3表、モニタリング、経過記録)
– 個人情報保護法、高齢者虐待防止法(権利擁護・通報)
– 消費者契約法・民法(契約説明・同意の一般原則)

まとめ(プロセスの全体像)
– 受理・契約 → 包括的アセスメント → 課題・目標設定 → プラン原案 → サービス担当者会議 → 説明・同意・交付 → 導入・給付管理 → 定期モニタリング → 再アセス・見直し → 記録・保存
この一連のサイクルを、本人の意向と生活の質の向上(自立支援・重度化防止)に焦点を当てて回し続けるのが、居宅介護支援におけるケアマネジャーの中核的役割です。

法令・基準に基づく手順と記録の徹底、多職種連携、倫理と権利擁護の実践が、質の高いケアプランにつながります。

サービス事業所との連携や給付管理はどのような仕組みで行われるのか?

以下は、居宅介護支援(ケアマネジメント)がケアプランを作成し、サービス事業所と連携して給付管理(支給限度額の管理や国保連への伝送)を行う全体の仕組みと、根拠となる法令・通知の整理です。

実務の流れと法的根拠を対応づけて記します。

基本構造と関係者の役割

– 利用者・家族 生活の意向や困りごとを伝え、サービスを選択・同意し、各事業所と契約する。

自己負担(1~3割)を支払う。

– 居宅介護支援事業所(ケアマネ・主任ケアマネ) アセスメント、ケアプラン作成、サービス担当者会議の開催、モニタリング、給付管理(支給限度額管理・国保連への給付管理票提出)を担う。

連携のハブ。

– サービス事業所(訪問介護、通所介護、福祉用具等) 個別サービス計画の作成・提供、実績の報告、介護給付費の請求を担う。

– 保険者(市区町村) 要介護認定、受給権管理、利用者負担割合証明書の発行、給付の決定。

– 国民健康保険団体連合会(国保連) 給付管理票と事業所請求の突合・審査支払。

返戻・過誤調整等の運用。

ケアプラン作成と連携の実務フロー

– 相談・契約
– 居宅介護支援の重要事項説明・契約時に、給付管理の委託(同意)や個人情報の同意範囲を確認。

– 根拠 介護保険法、居宅介護支援の運営基準(秘密保持、文書整備・説明義務、同意取得など)。

アセスメント(課題分析)

生活歴、心身機能、環境、家族状況、医療状況、リスク等を総合的に把握し、長期・短期目標と総合的援助方針を設定。

主治医や医療機関との情報連携(診療情報提供書、退院サマリー等の共有)を必要に応じて行う。

根拠 運営基準(課題分析・医療との連携)。

ケアプラン(居宅サービス計画書1~3表)作成

1~3表が「本体」(利用者意向・目標・総合方針、週間スケジュール、担当者会議要点等)、4~7表が「給付管理関連帳票」(サービス利用票・提供票の予定・実績)。

サービスの種類・量・頻度・時間帯・加算の要否などを具体化し、区分支給限度基準額の範囲内で単位数を配分。

根拠 標準様式・記載要領(厚生労働省通知)、運営基準(計画作成)。

サービス担当者会議の開催

関係事業所(訪問介護、通所、福祉用具、訪問看護等)と情報共有し、サービス内容の調整・役割分担・緊急時対応を確認。

オンラインでの開催も可。

各サービス事業所は「個別サービス計画」を作成し、ケアプランと整合させる。

根拠 運営基準(サービス担当者会議の実施、ICT活用に係る通知)。

同意・実施開始

ケアプランへの本人・家族の同意を得て、各事業所と個別に利用契約。

ケアマネはサービス利用票(予定)を事業所へ送付。

根拠 運営基準(説明・同意)、標準様式。

モニタリングと評価・見直し

少なくとも月1回等、状態変化やサービス提供状況を確認。

入退院・転倒・家族状況変化等のリスク事象では随時見直し。

必要に応じて担当者会議の再開催、プラン変更。

根拠 運営基準(モニタリング・継続的評価)。

サービス事業所との連携の具体

– 情報共有の手段
– サービス担当者会議(対面/オンライン)、計画書・個別サービス計画の交換、連絡票(連絡ノート)、電話・メール・ICTツール、緊急時の連絡体制の明確化。

– 訪問看護や主治医とは、バイタル・服薬・急変情報など医療的情報の相互連携を行う。

文書・データのやり取り

ケアマネ→事業所 サービス利用票(予定)、プラン変更通知、緊急時対応指示、暫定プラン(急変対応時)。

事業所→ケアマネ サービス提供票別表(実績)、モニタリング報告、KYT/事故報告(必要時)、入退院・入所連絡。

記録の保存は運営基準に基づく一定期間(省令で保存義務)。

個人情報・同意管理

目的達成に必要最小限の範囲で情報共有。

第三者提供は原則同意に基づく。

災害・生命身体保護等の例外規定への配慮。

根拠 個人情報保護法、運営基準(秘密保持)。

加算・連携評価

退院・退所時の調整や医療・薬局との連携、地域ケア会議参加等、一定の連携業務に対する加算が設定されている(算定要件に基づく記録・実績が必要)。

根拠 介護報酬告示・通知(点数要件、記録要件)。

給付管理の仕組み(要介護の居宅サービスの場合)

– 目的
– 支給限度額(区分支給限度基準額)の範囲内で、利用者ごとのサービス単位数の予定・実績を管理し、国保連の審査支払と整合させる。

月次の標準的な工程
1) 月初~中旬 サービス提供(予定に沿って実施)
2) 月末~翌月初 事業所が「サービス提供票別表(実績)」をケアマネへ提出(キャンセル、加算、短時間・延長、緊急対応等の実績反映)
3) ケアマネ 実績の取りまとめ・突合。

支給限度額内か確認。

超過が見込まれる場合は自費扱い調整や翌月以降の見直しを行う
4) ケアマネ 給付管理票(総括・個票)を作成し、国保連へ電子伝送(通常は翌月10日前後)
5) 事業所 介護給付費請求(明細書)を国保連へ同時期に電子請求
6) 国保連 ケアマネの給付管理票と事業所請求の突合・審査。

相違があれば返戻、過誤調整の手続
7) 支払 事業所へ介護給付費(保険給付分)が支払われ、利用者には自己負担分の請求がなされる
管理のポイント

区分支給限度基準額の管理 要介護度ごとの上限単位数内で配分。

例外や限度額外扱い(福祉用具購入、住宅改修など)との切り分け。

医療保険優先の整理 訪問看護等で医療保険算定となる部分は介護給付管理の対象外。

負担割合・減免 負担割合証明書、負担限度額認定証(施設系や食費・居住費の軽減)等の確認。

認定有効期間・種別の管理 認定更新の切替月、区分変更中の暫定ケアプラン等への対応。

返戻・過誤調整 請求・給付管理に不整合があった場合の再請求フローの理解。

ツール・標準

給付管理票と請求は「介護給付費請求書等の記載要領・様式例」(厚労省/国保連)に準拠。

国保連のオンライン伝送(伝送請求)を用いる。

居宅サービス計画書・サービス利用票/提供票は厚労省の標準様式・記載要領に準拠。

介護予防支援・総合事業の場合の相違点(要支援者等)

– 介護予防支援の基本は地域包括支援センターが実施主体。

ただし居宅介護支援事業所に委託される場合がある。

– 基本構造(アセスメント→プラン→担当者会議→モニタリング→実績管理)は同じだが、給付管理・請求のルートや様式は市区町村(総合事業)ごとに運用差がある。

国保連経由か市直送かも自治体裁量。

– 根拠 介護保険法(介護予防・日常生活支援総合事業)、関連通知・各自治体要綱。

よくある実務上の留意点

– 暫定プラン 退院直後など緊急導入時は暫定ケアプランで提供開始し、速やかに担当者会議・本プランへ移行。

– 併給調整 障害福祉サービスや医療保険との重複・優先関係の整理(訪看、リハビリ等)。

– 集中減算の回避 特定の事業所に利用が集中しすぎないよう、やむを得ない理由の記録整備(居宅介護支援事業所の報酬に影響)。

– リスク共有 転倒・誤薬・感染等のインシデント/アクシデントは速やかに共有し、プラン修正・予防策を合意。

– ICT活用 オンライン会議、電子計画書、LIFE等のフィードバックの活用(主にサービス事業所側の加算だが、情報の質向上に資する)。

根拠法令・通知等(代表例)

– 介護保険法(平成9年法律第123号)
– 介護給付・予防給付の仕組み、要介護認定、指定居宅介護支援事業者の位置づけ、保険者(市区町村)・国保連の役割等を規定。

介護保険法施行規則(厚生労働省令)

申請・届出、記録・帳票等の具体的手続・様式関連を規定。

指定居宅介護支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令)

アセスメント、居宅サービス計画の作成、サービス担当者会議の開催、医療・福祉関係者との連携、モニタリング、記録・保存、秘密保持、利用者同意など、ケアマネジメントの義務を具体化。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準

各サービス事業所が作成する個別サービス計画、記録、連携義務等を規定。

介護報酬告示・通知(介護給付費単位数等サービスコード表、算定要件)

各サービスの単位、加算、訪看の医療保険優先、退院・退所連携加算等の要件。

給付管理の前提となる計算・算定ルール。

介護給付費請求書等の記載要領・様式例(厚生労働省・国保連)

事業所請求および居宅の給付管理票の作成・伝送様式、返戻・過誤の手続等。

居宅サービス計画書等標準様式・記載要領(厚生労働省通知)

居宅サービス計画書1~7表、サービス利用票・提供票(予定・実績)の標準様式と記載ルール。

サービス担当者会議の要点記録など。

個人情報保護法、並びに介護分野のガイドライン・運営基準の秘密保持規定

情報共有の同意・目的限定・保存管理の根拠。

まとめ(要点)

– サービス事業所との連携は、ケアマネが中心となってアセスメント→計画→担当者会議→実施→モニタリングというPDCAで行い、標準様式(1~7表)と会議・連絡体制により情報を可視化・同期する仕組み。

– 給付管理は、月次の予定・実績をサービス利用票/提供票(予定・実績)で整合させ、支給限度額内の単位数に収めたうえで、ケアマネが給付管理票を国保連へ伝送し、事業所請求と突合・審査される仕組み。

– これらは介護保険法・施行規則・運営基準・標準様式・介護報酬通知・請求記載要領等に根拠があり、同意・秘密保持、連携の実施、記録・保存の義務まで含めて制度設計されている。

実務では、月次の締め工程(実績の取りまとめ→給付管理票伝送→不整合対応)と、日々の連絡・会議・モニタリングを滞りなく回すことが品質と請求適正化の鍵です。

加えて、入退院時や状態変化時の迅速な連携、医療・障害福祉・総合事業との境界整理、ICTの適切活用が、利用者の生活の質と給付の適正化を両立させるポイントになります。

利用者・家族の意向や自立支援の視点はどのように目標設定とサービス選定に反映されるのか?

ご質問の「利用者・家族の意向や自立支援の視点が、居宅介護支援(ケアマネジメント)の目標設定とサービス選定にどう反映されるか」について、プロセスと考え方、書類上の落とし込み、調整の実務、そして法令・通知等の根拠に分けて詳しく説明します。

基本的な原則

– 介護保険制度の目的は「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにする」ことです。

つまり自立支援(能力の維持・改善と生活の自律)を最上位目標に、本人の意向(望む暮らし・価値観)を起点に計画を組み立てます。

– 居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)は中立・公正に、利用者の選択権を尊重し、特定事業者に不当に偏らないサービス選定を行うことが求められます。

– ケアプランは「本人の望む生活」→「生活課題(ニーズ)の明確化」→「長期目標・短期目標」→「総合的援助方針」→「サービス内容・頻度・担当者」の順にロジカルに落とし込まれます。

これが厚生労働省標準様式(第1~第5表)の構造です。

プロセスごとの反映ポイント
(1) インテーク・初回面接

– 本人・家族から、望む暮らし、困りごと、価値観、生活歴、役割、生活上の強み(ストレングス)を聴取します。

ここで本人の自己決定を支える姿勢(パーソンセンタード)を明確にし、サービスの選択肢や費用負担、限度額等を中立的に情報提供します。

– 家族の意向は重要ですが、本人の意思が基本。

両者に乖離がある場合は、意思決定支援のプロセスを踏み、合意形成を図ります。

(2) アセスメント(課題分析)
– ICF(国際生活機能分類)の視点で、心身機能・活動・参加、環境因子(住まい、福祉用具、家族の介護力、地域資源)、個人因子(生活歴・価値観)を包括的に把握します。

– 「本人の意向(こう暮らしたい)」「家族の意向(こうしてほしい)」と、事実としてのリスク・能力(できる/できない)を分けて整理します。

自立支援の観点からは「できることを増やす/維持する」「環境調整でできるようにする」可能性を探索します。

(3) 目標設定(長期・短期)
– 長期目標は「望む暮らしの実現」に直結する本人中心の表現で、生活の場・役割・参加(例 自宅で安全に一人で入浴し、週1回は友人と喫茶店に行く)などアウトカムを定めます。

– 短期目標は長期目標へ向かう具体的なステップで、SMART(具体・測定可能・達成可能・関連性・期限)に設定します(例 3か月以内に浴室手すりを設置し、シャワー動作を見守りから声かけに移行、転倒ゼロを維持)。

– 自立支援の視点では、ADL/IADLの改善・維持、活動・参加の拡大、廃用予防、痛み・栄養・口腔・排泄など機能面の底上げを目標に組み込みます。

本人が重視する生活行為(買い物に行く、畑を続ける等)を核に据えるのがコツです。

– 家族の負担軽減は「本人の生活を支える」手段として目標化します(例 介護者の腰痛悪化を防ぐことで在宅継続を可能にする)。

(4) サービス選定(方針→手段)
– 「目標達成に不可欠な手段としてのサービス」を紐付けます。

例 
– 入浴自立 住宅改修(手すり・段差解消)、福祉用具(浴槽台・シャワーチェア)、訪問リハで動作訓練、通所リハで耐久性向上、ヘルパーの自立支援型介助。

– 外出再開 歩行訓練、移動手段の確保(デイの送迎活用、シルバーカー貸与)、見守り機器、地域サロン参加調整。

– 負担軽減 ショートステイ計画的利用、定期巡回、レスパイト、入浴介助の外部化、家族への介護技術指導。

– 介護保険内サービス(訪問介護・看護・リハ、通所系、短期入所、福祉用具、住宅改修、小規模多機能等)に加え、総合事業・インフォーマル資源(配食、見守り、ボランティア、地域サロン)も選択肢に入れます。

区分支給限度額内で、費用対効果と自立支援効果の高い組み合わせを優先します。

– 事業者選定は利用者の選択に基づき、相見積や体験利用等の機会提供を通じて中立性を担保します。

(5) 合意形成・サービス担当者会議
– 作成した原案は本人・家族・関係専門職が参加するサービス担当者会議で共有し、目標・役割・提供頻度・連携方法をすり合わせます。

本人の参加が原則。

参加が難しい場合は事前ヒアリング内容を示し、代理参加の妥当性を記録します。

– 同意を得た内容は「居宅サービス計画書」第1表(総合的援助方針、長期・短期目標、解決すべき課題)、第2表(サービス内容・量・事業者)、第3表(週間計画)に反映し、交付・説明します。

(6) モニタリング・再アセスメント
– 提供後は定期訪問や記録で、本人の満足・達成度・副作用(負担増、費用過大)を確認し、第5表(モニタリング)に記録します。

目標を達成したら次の段階へ、未達なら原因分析(目標が高すぎる、サービスが不適合、環境調整不足等)を行い見直します。

– 科学的介護(LIFE等)の指標やADLスコア、転倒件数、外出回数、排泄自立度、口腔機能、栄養指標など、測定可能なアウトカムを活用し、改善・維持を可視化します。

家族の意向の扱いと意思決定支援

– 優先順位は「本人の意思」が第一。

認知症や意思表出困難な場合は、意思決定支援ガイドラインに沿って、過去の価値観・生活歴・家族の陳述・行動選好から推定意思を構築します。

リスクとベネフィットを説明し、最小侵襲で本人の自律を守る選択を重視します。

– 家族の意向が本人の自立を阻害しうる場合(例 不安から過介護に傾く)は、福祉用具・環境整備・介護技術指導で安全性を高めつつ、段階的に自立度を上げる「自立支援型介助」へ合意形成を図ります。

– 介護負担が限界に近い場合は、在宅継続の現実性も正直に検討し、レスパイトや受診調整、制度資源の最大活用を提案します。

虐待兆候や経済的・心理的ハイリスクは地域包括支援センター等と連携します。

書類上の「どこに反映されるか」

– 第1表(居宅サービス計画書) 本人・家族の意向、解決すべき課題(ニーズ)、長期目標・短期目標、総合的援助の方針に明文化。

自立支援の視点(機能維持・改善、参加拡大、環境調整)は方針・目標に記載。

– 第2表 目標と各サービスの関連性が分かるよう、具体的内容(例 入浴動作訓練15分、見守り→部分介助への移行目安)を記載。

– 第3表 週間スケジュール化により、過密・過疎や家族の就労状況との整合を確認。

– 第4表 サービス担当者会議の要点(本人の発言、合意事項、保留事項)を記録。

– 第5表 モニタリングで目標達成度(定量・定性)と次回改善点を記録。

ここに自立支援効果の証跡が残ります。

実務上のコツ(自立支援を確実に反映するために)

– 望む暮らしを先に言語化し、それに沿って課題・目標・サービスを「逆算」する。

– 生活機能は「人×活動×環境」の掛け算。

環境整備(住宅改修・用具)と訓練・介助の三点セットで介護量を減らす発想を徹底する。

– 生活援助は「やってあげる」から「できる仕組みを作る」へ。

買い物代行よりも同行支援→自立化、配食とあわせた嚥下・口腔・栄養支援など、プロセスを設計する。

– 成果を小さく測る(例 屋内10m歩行→20m、トイレ誘導回数の減少等)。

家族と一緒に可視化してモチベーションを高める。

– 限度額・費用対効果の説明を丁寧に。

必要に応じて自費・総合事業・地域資源の組み合わせを提案。

根拠(法令・通知・ガイドライン等)

– 介護保険法 制度の目的として「その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」必要なサービスを給付する旨を規定。

自立支援と利用者本位の根拠。

– 指定居宅介護支援の事業の人員及び運営に関する基準(厚生労働省令) アセスメントの実施、居宅サービス計画の記載事項(長期・短期目標、総合的援助方針、サービス内容等)、利用者の意向の反映、選択の尊重、中立・公正、サービス担当者会議の開催、説明と同意、記録・モニタリング等を規定。

– 居宅サービス計画書 標準様式・記載要領(厚生労働省通知) 第1~第5表の構成と記載項目を定め、意向・課題・目標・方針・サービス内容・モニタリングの位置づけを明確化。

– 介護支援専門員実務研修テキスト/ケアマネジメント手法 ICFに基づくアセスメント、長期・短期目標の設定、モニタリング・再アセスメント、本人主体・自立支援の考え方を体系化。

– 認知症の人の意思決定支援ガイドライン(厚生労働省) 本人意思の尊重、推定意思の構築、家族との合意形成プロセスの指針。

– 自立支援・重度化防止の推進に関する通知・手引き(厚生労働省、介護給付費分科会資料等) 科学的介護(LIFE)やアウトカム指標の活用、ケアプラン点検の視点(過剰な生活援助の是正、用具・住環境の活用、リハビリテーションの適正活用)を提示。

まとめると、居宅介護のケアプランは「本人の望む生活」を起点に、ICFに基づくアセスメントで生活課題を特定し、自立支援を軸とした長期・短期目標を設定、その達成に資するサービスを中立・公正に選定します。

これらは標準様式上に明確に記録され、担当者会議で合意、モニタリングで検証・改善されます。

法令と厚労省通知が、その手続きを義務とし、本人中心・自立支援という価値を実務に組み込む根拠となっています。

モニタリングと再評価はいつ・どのように実施され、プランの見直しはどう進めるのか?

ご質問の「居宅介護支援におけるケアプラン(居宅サービス計画)のモニタリングと再評価はいつ・どのように実施し、見直しはどう進めるのか」について、実務の流れと根拠(法令・通知・標準テキスト等)を整理して詳しくご説明します。

基本概念(モニタリングと再評価)

– モニタリングとは
利用者の心身の状態、生活環境、サービス提供状況、目標の達成度を定期的に把握し、計画どおりに実施されているか、効果が出ているか、リスクがないかを確認する継続的な観察・評価のプロセスです。

PDCAの「Check」に相当します。

– 再評価・再アセスメントとは
モニタリング結果や状態変化を踏まえて、課題分析や目標・支援方針をあらためて検討し直すことです。

必要に応じてケアプランの変更(目標・サービス内容・頻度・担当者の調整等)につなげます。

PDCAの「Act」に相当します。

いつ行うか(頻度・タイミング)

– 定期モニタリング
原則として月1回以上、利用者の居宅を訪問して実施します。

これは居宅介護支援の運営基準で求められる実施確保に基づく標準です。

実務では「毎月の定期訪問」が基本で、短期目標の区切り(1~3か月)に合わせて評価の区点を設けるのが一般的です。

– 初回導入直後の集中モニタリング
新規利用や大幅変更後は、立ち上がり期に課題や不具合が生じやすいため、1~2週間後、1か月後など、通常より短い間隔でのフォローを計画します。

– 状態変化時の臨時モニタリング
以下のような変化があれば、速やかに追加のモニタリング・再評価を行います。

・急な疾病・入院、退院・退所直後
・転倒、誤嚥、徘徊、日常生活自立度の変化
・認知症症状や行動・心理症状(BPSD)の増悪
・家族介護力の低下、主介護者の不在・負担増
・住環境変化(引っ越し、改修、同居人の増減)
・苦情、不満、サービス未実施・中止、事故・ヒヤリハット
– 認定の更新・変更申請時
要介護認定の更新審査の前後は、改めてアセスメント・評価を行い、プランの総点検を行います。

– 医療イベント連携
退院時共同カンファレンス後の早期フォロー(おおむね2週間以内)や、主治医の治療変更(食事・内服・安静度等)に伴う評価・調整を行います。

補足(例外的な手段)
やむを得ない事情(感染症のまん延、災害、入院・施設入所中、本人の強い希望など)がある場合、自治体通知や厚生労働省の臨時的取扱いに基づき、電話・ICT等でのモニタリングを一時的に代替することが認められることがあります。

ただし原則は訪問での状況把握であり、実地指導の取扱いは自治体差もあるため、必ず所管担当に確認のうえ運用してください。

どのように実施するか(方法・視点)

– 方法
・訪問による面接と観察(本人・家族・介護者)
・サービス事業所からの提供状況報告の収集・照合
・必要に応じて主治医、看護師、リハ職、MSW等との情報連携
・計測・指標(体重変化、栄養状態、褥瘡リスク、転倒回数、服薬アドヒアランスなど、各ケースに応じた客観指標)
– 視点(ICFの全体像に沿って)
・心身機能/活動/参加 ADL・IADL、認知、意欲、交流、社会参加の実現度
・環境因子 住環境、福祉用具、交通、経済、社会資源の活用状況
・個人因子 本人の価値観、希望、痛み・不眠・不安などの主観情報
・リスク管理 転倒・誤嚥・脱水・服薬ミス・虐待兆候・ヤングケアラー等
– 確認項目の例
・長期・短期目標の達成度(SMARTに評価)
・サービス提供の有無・質・頻度・タイミングの適否
・サービス間連携の齟齬や重複・過少の有無
・費用負担・保険給付の枠内適合、自己負担の過重感
・本人・家族の満足度・納得度と意思決定の支援状況
・新たな課題の発生や優先度の変化

記録(エビデンス)と標準様式

– 必須記録
・モニタリング記録(日時、方法、面談者、観察所見、評価、リスク、改善提案)
・経過記録(関係者連絡、調整内容、合意事項、次回予定)
・サービス担当者からの報告書や連絡票の保存
・変更時のサービス担当者会議記録、同意書、交付記録
– ケアプラン様式の反映
・第1表(基本情報・課題分析の概要)の更新
・第2表(長期・短期目標、サービス総合方針)の見直し
・第3表(具体的サービス内容・担当者・頻度・期間)の修正
・週間サービス計画表、サービス利用票・提供票の差し替え
– 保存期間
運営基準に基づく記録保存(通常2年等、自治体指導に従う)。

e-Gov法令検索で最新条文を必ず確認。

プラン見直しの進め方(手順)

– 1)情報収集
定期・臨時モニタリング、関係者からの報告、医療情報、アセスメントツール(例 基本チェックリスト、口腔・栄養・認知機能等のスクリーニング)を用いて現状把握。

– 2)課題の再分析(再アセスメント)
新規課題の抽出、既存課題の優先度見直し、原因仮説の整理(例 転倒増加=環境要因+筋力低下+服薬副作用の複合など)。

– 3)目標の再設定
長期目標は本人の生活像に即して維持/修正、短期目標は具体・測定可能・期限付で設定(例 3か月でTUG 20→15秒、週1回の外出再開など)。

– 4)援助方針・サービスの再設計
量・質・時間帯・組み合わせ・事業所の見直し。

福祉用具や住宅改修、通所系の切替、訪看の導入、見守り機器等のICT活用なども検討。

費用・給付枠・負担限度額にも配慮。

– 5)サービス担当者会議
重要な変更時は原則開催。

本人・家族参加を基本とし、目的・目標・役割分担・リスク対応を共有。

軽微変更の場合は書面・電話・ICTで代替する運用もあるが、自治体指導に沿う。

– 6)同意・交付・周知
本人・家族の同意署名を得て、計画書を交付。

関係事業所へ最新計画と利用票・提供票を周知。

適用開始日を明確化し、緊急時は口頭で開始→事後速やかに書面整備。

– 7)実施確保・給付管理
実施状況のフォローと実績突合。

未実施・中止の理由分析、次月の計画修正やサービス切替の判断材料に。

– 8)フォローアップ
変更後は短間隔で効果検証。

必要に応じて微調整を繰り返す。

ケース例(簡略)

– 例 転倒が増えた独居の要介護2
1)臨時訪問で居室動線と履物の問題、下肢筋力低下を把握
2)短期目標「転倒ゼロ」「屋内歩行安定化」を1~2か月で設定
3)福祉用具(手すり・滑り止め)導入、通所リハ週1→2回、訪看で転倒予防指導、服薬見直しを主治医に情報提供
4)サービス担当者会議で役割明確化
5)2週間後フォロー、1か月評価でTUG改善と転倒ゼロ確認、効果持続のため目標再設定

実務上の留意点(品質・倫理・リスク)

– 本人中心・意思決定支援の徹底(同意・説明・選択肢提示)
– 医療連携(退院後の早期フォロー、処方変更時の影響確認)
– 生活全体の最適化(過剰サービスと空白の回避、費用対効果)
– 高リスクケースの頻回モニタリング(虐待兆候、独居高齢、認知症重度、フレイル急進行など)
– 記録の具体性と因果の仮説化(「良好」ではなく観察事実+評価)
– 変更時の同意・交付・周知の徹底(実地指導の指摘ポイント)
– 自治体の実地指導・ケアプラン点検の視点を常時意識

根拠(法令・通知・ガイドライン等)

– 介護保険法
居宅介護支援の位置づけ、介護支援専門員の役割、利用者の権利と契約等の根拠法。

ケアマネジメントは保険給付の適正化と利用者の自立支援のための必須プロセスとして規定。

– 介護保険法施行規則
指定・基準・手続きの詳細。

居宅サービス計画の作成・運用に関する実務的要件が準拠。

– 指定居宅介護支援等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令 第38号)
居宅介護支援事業所の運営基準。

特に以下の事項が関連します。

・居宅サービス計画の作成に関する規定(アセスメント、本人参加、目標設定等)
・居宅サービス計画の実施の確保に関する規定(定期的な状況把握=モニタリング、必要な変更、関係者との連携等)
・文書の交付、記録の整備・保存に関する規定
(条番号・文言は改正で変動し得るため、最新はe-Gov法令検索で当該省令の「居宅介護支援に係る運営基準」該当条を確認してください。


– 厚生労働省通知・事務連絡(介護保険最新情報 等)
モニタリングの実施方法の取扱い(例 やむを得ない場合の電話・ICTの活用、災害・感染症時の臨時的取扱い)、退院・退所連携、アセスメント・計画の様式と運用等が示されています。

自治体独自の運営指導指針も参照が必要です。

– 介護支援専門員実務研修(更新)テキスト、ケアマネジメント標準テキスト
PDCAに基づくモニタリング・再評価の標準プロセス、ICF視点の評価、サービス担当者会議の運用、記録のポイント等を体系化。

都道府県配布の最新版を参照ください。

– 各種ガイド(例 口腔・栄養・認知症・医療介護連携)
口腔/栄養/フレイル予防、認知症ケア、退院調整など、領域別の評価指標や連携の標準が公表されています。

まとめ(実務の勘所)

– 原則は「毎月の訪問モニタリング+状態変化時の臨時フォロー」。

短期目標の区切り(1~3か月)で評価を明確化。

– モニタリングは「事実の観察」と「目標に対する効果判定」を分けて記録し、原因仮説→対策→再評価の流れを回す。

– 重要変更はサービス担当者会議と同意・交付を徹底。

小変更でも記録と関係者周知を怠らない。

– 例外的な非対面モニタリングは根拠通知・自治体確認のうえ慎重に。

原則は訪問での状況把握。

– 法令・省令・通知・研修テキストの「最新」を参照し、自治体の実地指導の視点に適合させる。

以上が、居宅介護支援におけるモニタリングと再評価、ケアプラン見直しの全体像です。

具体的な条文や最新の取扱いは改正があり得ますので、e-Gov法令検索で「介護保険法」「介護保険法施行規則」「指定居宅介護支援等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(省令)」を確認し、あわせて厚生労働省「介護保険最新情報」および所管自治体の運営指導通知をご参照ください。

実務では、これらの根拠に基づきPDCAを回し、本人の意思と生活の質に即した柔軟な見直しを継続することが要となります。

【要約】
居宅介護支援のケアプランは、要介護者の尊厳と自立支援を最上位目的に、本人の意向を反映し、生活課題を可視化して目標設定、多職種連携を設計、給付の適正化とPDCAで継続改善、権利擁護とリスク低減も盛り込む。対象は第一に本人、次いで家族の負担軽減、事業者の共通指針として機能。医療・介護資源を統合し連絡体制を明確化、同意に基づく透明性と給付管理を担保。モニタリングで効果を検証し状況変化に応じて迅速に見直す。